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サリバン公爵の秘密 Ⅰ

Auteur: エチカ
last update Date de publication: 2026-04-17 07:45:54

「旦那様! しっかりして下さい!」

 オルタナは部屋から飛び出して、声のする方へと走った。

「オブライアンさん⁉ どうっ……え?」

 そこには息も絶え絶えになった公爵が、自室の扉の前で片膝をついて蹲っている。

 固く握りしめた左手は、爪が食い込んで血が出ていた。

「こ、公爵様⁉ 血がっ……」

「な、何でもないっ……」

「いや、何でもない事ないでしょう? 立てますか?」

 差し伸べようとした手を、強く振り払われた。

 片手で薙ぎ払われたオルタナは、後ろへと倒れこみ尻もちをつく。

 まるで敵でも睨むかのような公爵の殺気立った視線が、オルタナに刺さる。

 相手は国で随一の護衛騎士と名高い男だ。

 視線だけで腰が抜けた様に

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  • 魔女ドーラの孫(仮)   金鈴の鴉

    「到着したか、オブライアン」「……到着早々、クローゼットの中に主を見付けたのは初めてでございます」「俺もクローゼットの中で愛を囁いたのは初めてだ」「ちょっ……」「いい加減に出て来て頂かないと、屋敷の者達が困り果てております」「すまん。我が番殿がここが良いと甘えるもんでな」「んなっ……⁉」「オルタナ様」「はいっ、ごめんなさいっ!」「爺に謝る必要はございません。ですが、湯浴みしてお食事を摂って頂かねば心配で倒れるやもしれません」「い、今出ます……」 長い事狭い所で膝を折って座っていたから、若干痺れて上手く立ち上がれずに這うようにして出る。 ずりずりと這い出ている所を、公爵に腰を掴まれひょいっと抱き上げられ、立たされた。「あ、ありがとヴィー様。あの、オブライアンさんは何で本邸に……?」「旦那様の招集に応じて、今し方到着致しました」「オーリィ、オブライアンには大聖堂への潜入班に入って貰う」「潜入班……」「伯母上と義姉上とお前が正面から入る代わりに、オブライアンとアラベル、そしてスーランも潜入させる」「スーランも?」「まだ至らぬ所はございますが、ある程度は使えるかと」 オブライアンはそう言ってにこやかに笑って見せた。 いつもの笑顔が、少し怖く見える。 公爵はスーランをオブライアンに任せて躾け直すと言っていたけれど、それがどういうことなのかオルタナはまだ分かっていない。「スーラン、元気ですか?」「元気でございます。元気すぎて困っております」「ははっ、そっか。なら、良かった」「しかし、オルタナ様の専属護衛になるには、まだまだでございます」「え?」「オブライアン、種明かしが早過ぎるぞ。せっかくサプライズにしようと思っていたのに」「おや、それは失礼致しました。

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  • 魔女ドーラの孫(仮)   母 Ⅱ

    「うん……」 いつも毅然としていて隙のない公爵が、何やら頼りなさ気に見える。 いつも周りを圧倒する存在感を放ち、近寄り難い程のこの人が、今ここでだけは頼りない少年の様に見えた。 ポツリポツリと話し始めた公爵の表情を、オルタナは見逃さない様にしっかりと見つめる。「まだ十三だったその日、俺は体調が優れず寝台に押し込まれていてな」 体調の悪い第二王子を見舞いに来た前王妃と護衛で着いて来たオブライアンは暫く談話した後、部屋を去って行った。 だが、そのすぐ

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